チーム作り組織作りに悩む方へ ~「最強のコーチング」清宮克幸著を参考に~

学校、会社、サークル・部活などなど

社会生活を送るほとんどの人はこういった組織やチームの一員としているはずです。

 

こういった組織やチームではそれぞれの「役割」というものがあって

それは社長や部長・キャプテン、マネージャーといった明確になっているものや

組織をまとめる人、場を盛り上げる人、悩んでいる人に声をかける人など

なんとなくその中で形成されていった役割、あるいは人それぞれのキャラクターとでもいいましょうか

それぞれが「役割」を持っていて組織やチームが形成されます。

 

私自身は学生の頃部活動で10人程度の「チームリーダー」のような役割をしておりました。

明確に割り当てられたのは大学4年時でしたが、実際は大学2年の途中くらいから

そのような役割に対して自覚を持ち始めていました。

 

元々生徒会長やクラス委員はもちろんのこと部活のキャプテンすら経験もなく

チームや組織をどうこうということにはあまり考えたことがありませんでした。

 

だからチームや組織作りについて勉強しなければならないと思い

大学生の頃に手にした1冊が清宮克幸著「最強のコーチング」(講談社)です。

 

この本の著者の清宮克幸氏は現在日本ハムファイターズで活躍中の

清宮幸太郎選手の父親です。

 

清宮克幸氏は元ラガーマン早稲田大学では日本一、

卒業後もサントリーで競技を続けそこでも日本一になっております。

競技引退後はサントリーの営業職として活躍され

さらに在職中にもかかわらず早稲田大学ラグビー部監督として日本一になっております。

 

さて、今回はこの本を参考にしたチーム作り・組織作りについて語っていきたいと思います。

 

この本に対して抱いた率直な印象は

①チームや組織の本質を考えること

②目的や目標達成のためのセオリーを単純明快にすること

③①、②を選手に伝え続けること

著者が伝えたことが本当にこれらだったかは分かりかねますが、

私自身はこの3つについて深く考えさせられました。

 

①チームや組織の本質を考えることとは

 

「この組織は何を目標・使命していて、何のために存在するのか」

このようなことを考えることから始めました。

 

たとえば学習塾であれば

「生徒の学力を伸ばし、生徒自身やその保護者が望む学校へ進学させること」

「1会社として1銭でも多く収益を上げること」

これらが該当するかと思います。

 

組織の本質を考えるということはある意味その存在意義を問うことでもあります。

その存在意義をマネジメントする人たちやチームリーダーが理解し

そこへ導くことができているでしょうか。

 

企業であれば経営理念がそれに準ずるものですが、

それに対するアプローチとして経営ビジョンがあってそこを目指すための行動指針があります。

 

マネジメントする人やチームリーダーの指示することの多くは「行動指針」になるかと思いますが、

その行動指針は経営理念すなわち「組織やチームの本質」に繋がることでしょうか。

 

経験の浅い管理職に陥りがちなのが自分の成功体験を強要することです。

それが結果的にうまくいけばいいのですが、

その背景にある多くは自己保身であるのです。

なぜなら自分の成功体験以外のことを教えてしまうと間接的に自分自身の経験が

否定されたと感じてしまうのです。

 

だから、チームや組織をまとめ引張ていくうえでは

「組織の本質を考え、そのために何を頑張ればいいのかを示していくこと」

が重要だと考えました。

 

②目的や目標達成のためのセオリーを単純明快にすること

 

①から組織の本質を考えたところで、具体的な目標を設定します。

少し著書に戻りますが、早稲田大学ラグビー部の目標の1つとして

「大学日本選手権優勝」がありました。

 

清宮克幸氏が就任した当時の早稲田大学ラグビー部は

優勝などとはほど遠く彼から言わせてみれば「素人集団といっても過言ではない」

と著書には書かれています。

しかし結果的にはその年の12月の関東大学ラグビー選手権優勝にまで導きました。

 

日本一を目指すにあたって、「練習をデジタル化すること」ということが紹介されています。

就任時に「早稲田大学の強みと弱みを分析しなさい」というアンケートを部員たちにとった際

強みは「伝統・人気がある、人数がたくさんいる」といった

日本一に対して直接的に関係がないものであったのに対して

弱みは「スクラムが弱い、足が遅い、体が小さい」と

勝敗に大きく関係することが挙げられていたそうです。

 

そこで、目的不明確な練習をやめさせ

スピード、持久力、パワー強化と練習の目的を明確にし

さらに時間や距離、ウエイト数などを数字できちんと管理していき

ゆくゆくは「早稲田の強み」を作っていくことに注力したと書かれています。

 

昨今は「生産性」について問われることが多くなり

会社でも「残業を減らして成果を出せ」と言わていることも耳にするようになった。

この生産性を高めていくにあたって

「目的を明確化し、目に見える形で目標や成果を管理していく」ことは

非常に重要なことだと思われます。

 

③①、②を選手に伝え続けること

 

①、②を考えたうえで選手やチームメート、部下に対して

それらを伝え続けることが大切と考えています。

 

伝え続けることの何が大切かというと

①組織の本質を正しく認識させる

②その人をその気にさせる(目標や目的に対して達成できると思わせる)

③リーダーの本気度・誠意を見せる

主にこれらが挙げられます。

 

なかでも2つ目、3つ目は特にポイントであり、

目標や目的があまりにも飛躍している

たとえばベンチャー企業が「amazonappleの売上を越える」

地区予選突破がやっとのチームが「翌年のインターハイで優勝する」

というあまりにも現実離れしている目標、

反対に低すぎる目標は目標設定として相応しくないです。

 

最も目標設定としてふさわしいのは

「ギリギリ到達できるかどうか・・・」のレベルといわれています。

清宮氏が就任した際、「大学日本一」という目標を設定したが

おそらく選手の多くは日本一になんかなれるわけがないと思っていたと思います。

 

しかし、清宮氏は日本一を目指せると信じ伝え続けた結果

関東大学選手権優勝、2年後には全日本選手権優勝という成果をなし得ました。

 

このように選手自身を「自分たちならできるかもしれない」

とその気にさせることができるのです。

 

また、会社でいえば部下、部活でいえば後輩や生徒は

管理する立場の人間を非常によく見ています。

その人の本気度を試しているといっても言い過ぎではないと思います。

 

自分の上司や指導者にあたる人が口先だけでものを言っても伝わりません。

 

これは私が大学時代に出会ったトップ選手から聞いたが

「人間は理屈じゃない、感情で動く生き物だ」

 

つまり正しいことを理屈で説いてもその言葉に心がなければ相手には伝わらない

ましてや人の心を動かすことなんてできないはずです。

 

だから、組織の本質や目標、それに至るまでの行動指針などは

本気で心の中で思った上で伝えていかないと伝わらないのではないでしょうか。

 

組織をまとめる役回りが好きであったり得意であったして

そういった役割を全うしているひともいれば

何かのタイミングやきっかけで望んではいなかったが

役割を割り当てられてしまうこともあります。

 

少し大げさな言い方かもしれないが、

人の大切な時間を預かるということは非常に責任が重い。

うまくいかなければ周りからは否定的な眼差しで見られることもあります。

 

しかしそれ以上に何かを成し遂げたときの感動やそこに至るまでの苦労

また周りの人が成長していく、変わっていく過程に対して喜びを得るには

本気で組織やチームのことを思ってでないと味わえないと思っています。

 

あくまでもこの本を通してチーム作りや組織作りについて私一個人が考えたことです。

おそらく読んだ方それぞれが抱く印象は異なると思いますし、

学生・社会人問わず非常に参考に・熱くなれる一冊だと思います。

 

チーム作り組織作りに悩む方はぜひ1度読んでみてはいかがでしょうか。