病院も危ない! 生き残る経営戦略
コロナウイルス大流行によって、経済が大打撃を受けたのは言うまでもないでしょう。
一説によると、日本国内でも約1万もの会社が倒産したとされており、第二波第三波が到来するとなると、ますます増えていくことでしょう。
業界によっては、売上の減少度合いは異なるかとは思います。
旅行や飲食、ホテル業では売上が8〜9割減、一方運送業などは好調と言われています。
こういった不景気の中で「どういった事業で攻めていくか」という方向転換や事業展開の見直しももちろん必要ではあります。
しかしながら、会社というものは数ヶ月ではなく数年あるいは数十年という長期的な視点で考えて経営していくものなのです。
すなわち、目先のことを気にするのも必要だけど、長く生き残っていくための戦略が重要なのです。
そのための戦略はただ1つ・・・
「この会社は〇〇だよね」というイメージをつけさせること、
つまり企業のブランディングです!
例えば、コンビニ業界で最も勢いのあるセブンイレブン。
セブンイレブンのイメージとして
「白を基調とした店舗の清潔感、プライベートブランドの充実、セブン銀行の利便さ」など
を思い浮かべるのではないでしょうか。
つまり、「他のコンビニと違って〇〇だよね」ときっちりと差別化を図っております。
そうでなければ、わざわざセブンイレブンを選ぶ理由がなくなってしまいますよね。
こうやって顧客を呼び込んでいくことが、経営の安定化につながります。お客さんが来なければ商売成り立ちませんから。
このイメージ作りというのは、資金を投入したり数ヶ月やってみたりするだけでは、
確立することはできません。
丁寧に時間をかけて、コツコツと積み上げていった結果がブランディングとなるのです。
時間をかけて形成したイメージであれば、同業他社にとっても簡単には真似できないですし、二番煎じ感が表出してしまっては顧客を掴むのは難しいのです。
したがって、うちの会社は〇〇だ!というイメージを形成していくために、
時間をかけて小さなことからコツコツと積み上げていくことで、会社のブランドを形成することができるのです。
さて、タイトルにもあります病院の話をしていこうと思います。
なぜ病院かと言いますと、医療業界こそ、この差別化が全く図れていないからなのです。
そもそも、医療機関は電気や水道といったインフラ、人々の生活に欠かせないものに近い存在です。
だから国としても潰れてしまっては困ります。
そのために国は、医療法や社会保険の制度を作り、「当たり前のことをやっていれば儲かる仕組みづくり」をしております。
経営難に陥る医療機関も少なくはない一方で、きちんと儲かっている医療機関もあるのです。
しかしながら、一般企業の感覚からすると当たり前のことをしているだけ。
多くの医療機関の経営者は、国が作ってくれた制度に甘んじているのです。
これが医療業界の現状だと私は考えております。
しかしながら、こういった流れはいつまでも続くとは思いません。
国の税収が減ることを踏まえると、社会保険に回せる財源も減り、医療機関への風当たりも厳しくなるでしょう。
そして「患者さんの奪い合い」が始まると思います。
これまでは、指を咥えて待っていれば患者さんは勝手に来ましたが、
「ここの病院じゃないとダメなんだよね」というように患者が病院を選ぶ時代が来ると思います。
そのためには前述にありました「ブランディング」が必須なのです。
やばいと気付いてからでは遅いのです。
今一度医療機関の経営者は、
「どういった医療機関を作っていきたいのか」
「どういった役割が求められているのか」
「そのために必要な資源は何だろうか」
このような問いを深く考え、その医療機関の"らしさ"と言うべきものを追求していくことが必要なのではないでしょうか。
医療機関は今後もなくてなならない機関です。
ですから、簡単には倒産してはいけないという使命を果たさなければならないと思います。
そのためにも、長期的な戦略を練って、「ブランド力」を磨いていくことが、地域の方々や従業員、そして経営者自身といった多くの人を幸せにできるものと考えます。